丸井グループでは「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」を経営理念に掲げ、人的資本経営に取り組んでいます。手挙げ制による自主的な学びの場への参加やグループ間職種変更など、多くの社員がさまざまな経験をそれぞれのキャリアに役立てて活躍しています。 連載「カラフルキャリア~これが私の原動力~」では、多様なキャリアで活躍する社員に注目し、その原動力をひも解いていきます。今回は、自ら希望して空間デザイン部門のデザイナーに職種変更をした若手社員、花守さんにお話を聞いてきました。
──花守さんは現在どのようなお仕事をされていますか?
デザインの力で丸井グループの企業価値向上に貢献する、グループデザインセンターのmadoというデザインチームに所属しています。madoは丸井グループ社員が9名在籍しており、デザインオフィスnendoとの協業を通じて、未来志向の思考プロセスや課題解決力、デザインスキルを習得し、社内外のプロジェクトに幅広く取り組んでいます。具体的には、新規事業のビジネスモデルデザインや決算・IR資料のデザイン監修、丸井グループ北口本社のリニューアルにおける空間デザインなどを担っています。
今回は、madoチームが拠点に置いているnendoのオフィスで取材をしました!
──丸井グループ社員でデザイナーって珍しいですよね。自ら希望したのですか?
私は、ずっと空間デザイン部門に携わりたいと考えていました。きっかけは、子どものころから好きだった「大改造‼劇的ビフォーアフター」というテレビ番組です。さまざまな問題を抱えた家が、一流の建築士である「匠」たちの見事なリフォーム術によって劇的に大変身するというもので、暮らす空間によってそこに住む人の生活がより良いものになるというところに心が動かされました。そこから、「人々が過ごす『空間』をつくるという職業に携わりたい」と漠然と考えるようになり、大学では、建築学科を専攻しました。
──おもしろいですね。空間デザイン専門の会社ではなく、丸井グループに入社したのはなぜですか?
実は、就職活動ではハウスメーカーか内装設計の会社を見ていました。その時、たまたま友人が丸井グループの選考を受けようとしていて、そこで「丸井グループにエイムクリエイツという空間プロデュースの会社があるよ」と教えてもらったんです。「マルイってあの『OIOI』のマルイ?」と驚いたのを覚えています。丸井グループというと、小売かフィンテックのイメージしかなく、まったく選択肢になかったので。エイムクリエイツを調べていくうちに、丸井グループそのものに興味が湧いてきて、入社したいと思うようになりました。
──空間デザインの専門職ではなく、丸井グループに入社して実際どう感じましたか?
丸井グループに入社をしたことは、正解だったと感じています。それは、職種変更の制度でさまざまな仕事を経験できるからです。はじめに配属されたのは、マルイの雑貨売り場。私は、「小売経験のある内装設計者っておもしろいんじゃないか」という気持ちで、接客の仕事を楽しみながら全力で取り組みました。人とコミュニケーションをはかるのが好きなので、自分の性格的にも接客業は合っていたと思います。また、「商業施設にお越しいただくお客さまにとってのより良い空間とは」ということを、実際に店舗に立つスタッフの立場で考えることができたのも良い経験になったと思います。
──販売スタッフ時代の印象に残っているエピソードはありますか?
販売スタッフ時代、さまざまなことにチャレンジさせてもらいました。特に印象に残っているのは、イベント出店いただいた陶器ブランドの販促ムービーづくり。新社員時代に自らの提案で売り場のモニターで流すための動画を制作しました。実はこれ、一度ボツったんです。スタイリッシュな雰囲気の動画をつくったのですが、クライアントが求めていたのは、温かみがあって、食卓を彩ってくれる陶器の魅力が伝わるものでした。あらためてクライアントの要望を整理し、ご満足いただける動画ができた時は本当にうれしかったです。
今振り返ると、この「失敗」をBtoBのビジネスをする部署に異動する前に経験することができたことは大きかったと思います。
国分寺マルイでのイベントの様子
──その次のエイムクリエイツのプロダクト1部では、どのような仕事をされていたのですか?
仕事内容は、マルイを含む商業施設に入るテナントの施工・制作管理で、「現場責任者」という役割を担っていました。具体的には、デザイナーが計画した完成イメージを形にしていくために、工程やコスト、詳細なつくり方を管理していました。自分がデザイナーをめざすうえで、重要な「現場」を知ることができて良かったです。
──「現場責任者」ってかっこいいです!そこでの学びはありましたか?
異動当初は、「現場責任者」は私にとってプレッシャーでした。現場でコミュニケーションをはかる方々は経験豊富な職人さんたちで、自分なんかが意見を言えるような立場でないと考えていたからです。
施工現場は、専門用語が飛び交い、最初は理解ができずに苦しかったのですが、素直に「わからない」と言うようにしました。すると、職人さんたちは丁寧に教えてくれて、私に真摯に向き合ってくれました。自分でも予習・復習をくり返し行い、私なりの意見を伝えられるようになったころには信頼関係が生まれていたと思います。関係性を築くためには、「知ったかぶりをしない」素直な姿勢が大事だということを学べました。
──かねてより希望していたデザイナーは、実際に働いてみてどうですか?
難かしいことも多々ありますが、楽しく働いています。デザイナーは理想を掲げ、形にしていく旗振り役だと思っています。やっぱり、理想を追求すると現実とのギャップで、「できない」と思われることが多いですが、その中でも可能性を見出して、実現していくのが楽しいです。協業パートナーであるnendoの代表で、世界的デザイナーでもある佐藤オオキさんから直接アドバイスいただけることも、とても勉強になっています。
──花守さんの仕事への情熱が伝わってきます!どういった時にやりがいを感じますか?
やりがいは、相手の期待を超える提案ができた時です。相手に喜んでもらえるとうれしいので、潜在ニーズを形にすることができた時に達成感を感じます。時には、求められるものとずれてしまうこともあるのですが、そうした時も「この壁を越えたい」と熱くなる性格なので、モチベーションが上がります。
──では、仕事の原動力は何ですか?
「新しいことに挑戦していくこと」です。現状維持という言葉があまり好きではなく、常に新しいことに挑戦していきたいと思っています。多角的にものを見て、新しい発想を起こすということは大事なことだと思いますし、自分もそういう人でありたいという想いが強いです。それと、「できない」とは言いたくないとも常に思っていて、どうすればできるのか、どう変えていくべきかということを考えるようにしています。
──最後に、丸井グループで挑戦したいことを教えてください!
長期的にチャレンジしていきたいことが二つあります。
一つは、丸井グループに「デザイン思考」を広めていきたいです。これは、物事をいろいろな角度からとらえることで、前例のない課題に対して最適な解決をはかることのできる思考法と言われています。私は、nendoとの協業の中で、その重要性を知りました。
もう一つは、丸井グループでのクリエイティブ部門での成長のステップをつくること。自分が築いたキャリアそのものが、クリエイティブ部門を希望する若手社員のロールモデル的な存在になれたら良いなと思います!