共創
2025.1.23

こんな活動あったんだ!「青井奨学会」~交流イベントに潜入~

1973年、丸井グループの創業者である故青井忠治氏が「社会に有為な人材を送り出したい」という想いから私財を寄付し、これを基金として「青井奨学会」を設立しました。この奨学会の大きな特徴は、奨学金給付にとどまらず、現役奨学生と卒業生が交流し、互いに学び合える場の提供を行い、「未来を考えるきっかけ」をつくっているということ。果たして青井奨学会は、将来世代のためにどのような想いを持って活動しているのでしょうか?取材に行ってきました。

目次

    青井奨学会は、未来を担う若者たちを支援することを目的に設立された公益財団法人です。青井奨学会は、財団の創設者でもある青井忠治氏が寄付した丸井グループの株式の配当金を原資として運営しており、 これにより無利子かつ返還不要の奨学金を提供しています。
    特に経済的な理由で進学が困難な学生に対し学費支援を行うことが、教育格差の解消につながると考え、創立以来52年にわたり活動を行っています。

    青井奨学会は設立以来、2000人近い学生に奨学金を給付してきました。その支援対象は高校生から大学生にまで広がり、多様な分野で活躍する人材を輩出。研究者や教育者として社会に貢献する卒業生も多くいます。また、近年では単なる金銭的支援にとどまらず、交流の場の提供など、より多角的な支援を行っています。

    今回は長期インターン生が、「自分も大学生として奨学金を受給している身だけれど、『交流の場』って聞いたことがない!気になる!」という好奇心のもと、青井奨学会の交流イベントに潜入取材してきました。

    長期インターン生が交流会イベントに潜入取材!

    2024年11月に青井奨学会の交流イベントが行われました!
    今回は、現役の奨学生と卒業生の約200名が集合し、
    18歳から70歳と幅広い年代の方々にご参加いただきました。

    まず初めにアイスブレイクとして行われたのは「共通点探しゲーム」。
    グループに分かれた参加者同士が「趣味が同じ」「同じ地元出身」など、共通点を次々に発見し、会場に笑い声が響く中、初対面の緊張もすぐに解けて自然と会話が弾むきっかけになりました。

    次の「青井奨学会クイズ」では、奨学会の歴史に関する問題が出題され、現役生と卒業生が協力して回答を考える姿や知らなかったエピソードに驚く声が上がるなど、楽しく学びながら交流が深まりました。

    「青井奨学会クイズ」は、奨学生の「現役生・卒業生関係なく盛り上がりたい」という声に応えた企画!

    そしてイベントのメインは、卒業生と奨学生が語り合う座談会。
    事前に奨学生にどの分野で活躍する人と話したいか一人ひとりヒアリングを行い、それぞれのニーズが叶うように班分けがされました。社会で活躍する卒業生が「奨学会で得た人とのつながりが今も自分を支えている」と語る様子は説得力があり、現役生たちも熱心に聴いていました。

    「奨学会の支援があったからこそ、今の自分がある」という先輩たちの言葉に、現役生が勇気をもらう場面も

    このイベントを通じて、奨学会の支援が単なる金銭的なものを超え、心温まるつながりと成長の場を提供する存在であることを参加者全員があらためて実感する機会となりました!

    ~参加者の声~

    イベント全体を通して、縦横のつながり関係なく楽しみながらお互いに学び合うことができました。

    奨学会が提供するのは単なる金銭的支援だけではなく、心強いつながりや成長の場そのものであるとあらためて感じました。

    青井奨学会事務局に聞く!

    今回は交流会を主催した青井奨学会出向者の方々にもインタビューさせていただきました!

    ―――青井奨学会への参加は手挙げによって募集された聞きました!どのような想いで参加を希望したのでしょうか?

    水本さん:2024年4月から青井奨学会に出向しています。手挙げした当時、人事部採用課で、インターンシップなどで学生と交流する機会が多く、学生が喜ぶ企画を一緒に考えることにやりがいを感じていたため、奨学会の運営にも興味を持ちました。

    賀佐さん:2022年12月から青井奨学会に出向しています。応募当時は小売部門で経理などを担当していたのですが、「人と携わるような新しい挑戦をしたい」という想いがありました。
    また、私自身、高校・大学時代に奨学金を利用していたおかげで、学生時代は代えがたい経験をたくさんできたので、今の学生にもそういった経験をしてほしいという想いから、手挙げをしました。

    ―――強い想いを持って、参画しているのですね。ほかの奨学金制度と異なり、青井奨学会が交流を重視する理由は何ですか?

    賀佐さん:大きな理由としては学生のニーズに応えるためです。過去に奨学生に向けたアンケートで、学生たちから「交流の場が欲しい」という声が最も多かったことがきっかけです。また、長い歴史を持つ奨学会ならではの卒業生のネットワークを活かし、幅広い世代間でのシナジーを生み出せるよう努めています。
    実際に携わる中で、交流会を通じて学生たちの感謝の言葉や前向きな姿勢に触れると、この仕事の意義をあらためて実感します。

    水本さん:学生のコミュニティは、大学やバイト先など限られた範囲にとどまりがち。「もっと多様な人々と話してみたい」というニーズに対して、職種や年代を超えた交流ができる場を提供することで、新たな視点や刺激を得られる機会をつくりたいと思っています。
    学生との交流で感じたのは、彼らの熱量の高さ。「他者のために何かをしたい」という気持ちが強く、それに応えるべく私自身も全力を尽くしています。

    ―――交流会の運営で工夫しているところはありますか?また、奨学会の運営において課題に感じている点や改善したい点はありますか?

    賀佐さん:交流会などに関してはいかに学生の目線に立って考えられるかというのを大事にしています。11月に開催した交流会イベントでは、間の移動時間までどうやったら学生や卒業生のコミュニケーションを増やすことができるのか、考えを出し合いました。
    課題に感じているところでいうと、デジタル化が進んでいないところです。特に卒業生とのやり取りは、お手紙ですることも多く、不便に感じることもあります。また、青井奨学会には卒業生が約1700人もいるのですが、その中にどういうキャリアを築いた人がいるのか明らかになるデータベースをつくることがでれば、もっと学生のキャリア支援をつながるのではないかと考えています。

    ――― 今後の展望について教えてください!

    水本さん:学生同士の交流を支援する取り組みをさらに強化していきたいと考えています。たとえば、丸井グループで企業文化として確立している「手挙げ」のように、学生が自主的に手を挙げて、イベントの運営側に参加できるような仕組みを整えたいです。
    私たちはそのサポート役として、学生たちが持つ主体性やニーズを最大限に活かせる環境をつくることをめざしています。セミナーやワークショップなど、学生が主体となって企画・運営することで、 よりニーズに応じた取り組みを推進していきたいです。

    ―――最後に、奨学金を利用している学生やこれから利用を考えている方々へお二人からメッセージをお願いします!

    私たちは、青井奨学会の事業全体が未来への投資であると考えています。
    奨学金返済に苦しむ人などの報道から、「奨学金」という言葉には、どうしてもネガティブなイメージを抱かれることがあるかもしれません。
    しかし、私たちは学生が金銭的な不安を抱えることなく、自分のやりたいことに全力で打ち込める環境を提供したいと思っています。皆さんが奨学生であることを誇りに思えるよう、新しい取り組みを進めていくつもりです。
    交流イベントをはじめ、青井奨学会の活動を通じて、「楽しそう」「かっこいい」といったポジティブなイメージを発信し、学生生活がより豊かなものになるよう、今後も尽力していきます。

    編集後記

    私自身も、大学2年になった昨年から他財団の奨学金を受給している身なので、奨学金のありがたさを日々感じています。今回、自分と同じように奨学金によって救われている人たちのリアルな声を聞けたことで、あらためてその重要性を実感しました。
    地方から上京して大学に通うには、学費だけでなく生活費も大きな負担になります。そんな中で、奨学金があることで「学びたい」という思いを諦めずに済んでいるのは本当に幸運なことだと思います。
    また、地方から都会に出るとコミュニティを1からつくる必要があるのを踏まえると、青井奨学会のように交流の場を設けてくれるのは大きな支えになると思いました。
    この活動の価値がより多くの人々に伝わるとうれしいです!

    タグ
    この記事をシェア