共創
2023.10.3

Partner's Interview#5 「COUNTERWORKS」

丸井グループでは、さまざまな企業・人と力を合わせてインパクトを生み出す取り組み「共創」に注力しています。「共創チーム」と言われるチーム数やチームの人数も増え、店舗でのイベント開催やエポスカードとのコラボ、物流での協業など、常にさまざまな取り組みが行われています。「Partner's interview」では、そんな丸井グループの共創の最新事例や、担当者による想いをご紹介します。第5回は、商業不動産をデジタル化し、商いの新たなインフラをつくり出すことで、より良い社会の実現をめざす株式会社COUNTERWORKSさまとの共創についてお届けします。

目次

    <今回の対談パートナー>
    左:COUNTERWORKS
     取締役 CFO兼 丸井 テナントサクセス推進室長 薮本 祐介さん
    右:丸井 テナントサクセス推進室 今西 優さん

    多面的な出会いから共創がスタート

    ー丸井グループとCOUNTERWORKSさんとの出会いについて教えてください。

    すごく多面的な出会いがあったんですよ。マルイの各店舗の皆さんから弊社にお問い合わせいただいたというのが出発点で、一番最初に接点を持ったのは上野マルイなんです。その後もいくつかの店舗と取り組みを進めていく中で、丸井グループさんとCOUNTERWORKSの資本業務提携のお話をいただき、その後共創チームができて取り組みが加速しました。そこから、あの手この手でいろいろやっていこうという話になり、テナントサクセス推進室が生まれ、推進室の中でOMEMIEが生まれていった、という変遷です。

    ー薮本さんは現在丸井に出向されていますが、丸井ではおもにどのようなお仕事をされていますか?

    2021年の4月に出向し、最初はチームの立ち上げやサービスの立ち上げに取り組み、その中で必要な企画や組織、ミーティングの設計などにもかかわりました。今ではかなり形になり、チームとして動くようになっているので、ところどころサポートをするというのが今の私の役割です。

    ーもともと丸井グループに対しては、どのような印象をお持ちでしたか。

    「変化の早い会社さんなんだろうな」というイメージがありました。というのも、小売の事業会社である丸井さんは、いわゆる百貨店業態から不動産型のSC業態にどんどん切り替えていきましたよね。いろいろな百貨店さんがこれからの小売のあり方について考えられていた中で、丸井さんが一番早くこの方針をガンと打ち出して一気に進めていったという印象があり、すごく変革に前向きな会社なんじゃないかなと、思っていました。

    ー今西さんは、薮本さんがちょうど室長になられたに時に異動されてきたということですが、どのような印象を持たれましたか。

    薮本さんはすごく物腰がやわらかいので、皆話しやすいと感じていると思います。部署内のコミュニケーションも円滑で、社外から来ていただいているという感じがあまりないです(笑)。

    ー薮本さんと仕事をする中で、仕事の取り組み方や進め方に変化はありましたか。

    薮本さんには、チームビルド初期の段階で、組織のあり方やミーティングやアジェンダのつくり方から入っていただきました。今でこそ当たり前になりましたが、物事やプロジェクトの進め方、いつまでに誰が何をやるか、マネジメントやチームの動かし方など、すごく勉強になりました。推進室は丸井内外の方とかかわることが多く、大勢を巻き込み、動かしながら進めていくのは大変な仕事だと感じていたんですが、COUNTERWORKSさんの知見が本当に参考になりました。

    初めはちょっと面食らったかもしれないですね。「そんなに細かくやるの?」みたいな。

    たしかに!でも、細かく決めるんですけど、それぞれ意味をもってやっているから、後々ちゃんとつながるんです。逆に、薮本さんもびっくりされたと思いますよ。「今、何のミーティングしているんだ?」って。それまで、ふわふわーっと進めがちだったところがあったので。

    今は皆さん、バチっとできるようになっていて、周囲のチームを巻き込むこともすごく上手になりましたよね。

    さまざまな学びを経て動き出したOMEMIE

    ー周囲のチームを巻き込んだり、複数の部署や人を動かしたりするためには、やはりチームビルドのところから入っていただいたというのが大きかったんですね。「OMEMIE」は、丸井の中でどういうきっかけで生まれたんでしょうか。

    COUNTERWORKSさんとやり取りしているなかで、COUNTERWORKSさん側で持っている「SHOPCOUNTER」という商業スペースと出店者のマッチングプラットホームにまずマルイの区画を載せてみて、稼働が上がるかとか、イベントの出店につながるかなどを検証してみようということになり、早速掲載をしてみたのですが最初はなかなか成果に結び付きませんでした。
    問い合わせがある区画はどれも10坪以下の狭小区画ばかり。もともと丸井が用意していた出店規模の想定より、実際のニーズはかなり小さいものでした。
    では、私たちがめざしている「スモールプレイヤーの応援」には何が必要なのか?何がボトルネックなのか?に立ち返り、出店区画のサイズを見直し、煩雑になりがちな契約関連の手続きを簡略化するなど、独自でシステムから立ち上げてみようという流れでOMEMIEが動き出しました。

    ーたとえば丸井グループのような実際に店舗をもっている企業で、こういったシステムをもって取り組んでいたところは当時、あったんでしょうか。

    一部の企業が取り組んではいましたが、多くはなかったですね。あったとしても、出店いただくテナントさんたちが本当に見たい情報を網羅できているか、その方たちにとって心地良い出店体系になっているかというとそうではなく、ぺらっと情報が載っていて、メールで問い合わせをするといった形でした。Web上だけでは見えないものが多いなど、最適な形ではないものが多かったと思います。

    ーそういった課題をクリアしていくために、ニーズの調査やお客さまのヒアリングなどもされたのですか。

    オンライン上で出店を探していたり、「私でも本当にできるのかな」という不安や課題を感じていたりする方にヒアリングを行いました。世の中に自分のブランドを発信していきたいという方々にも使っていただけるような、そんなサービスにしていきたい、というところを踏まえて「OMEMIE」が誕生しました。

    大変だったのは、「理解を得る」作業

    ー「OMEMIE」にとって、一番の壁というか、皆さんが苦労したのはどんなところでしょうか。

    「OMEMIE」の構想はテナントサクセス推進室の中では共有できているんですけど、初期のころは、今までとは異なる考え方だったので、これまで 店舗を運営してきた皆さんにとっては、どんな感じでどんな未来になっていくのかが想像できない状態だったと思います。そこからのスタートだったので、OMEMIEがめざす姿や、商業施設の何を解決していきたいと思っているのかを今西さんたちから丁寧に説明し、 「一緒に頑張りましょう」と各店舗の店長さんに話に行っていました。未来を構想し形に落とし込んでいくと同時に、小売の皆さんにご説明し理解を得ることに力を注ぎました。

    ーそれは、どう乗り越えたんでしょうか。

    「OMEMIE」は小売全体にかかわりますが、テナントサクセス推進室は文字通りテナントの成功を叶える部隊なので、小売にかかわる方それぞれにとっての短期的なメリットも伝えつつ、「こういう世界を実現しましょう」「皆さんの業務にプラスに働く未来があります」ということを、いろいろな切り口で伝えるように工夫しました。

    同じ目線でベストな世界を描けたことが成果に

    ー自分たちの仕事や苦労を理解してくれていると思うと、良い関係性が生まれていくんですね。実際にスタートして、ビジネスフェアで表彰されたり、DX銘柄の選定にも大きく寄与したり、丸井グループにとって良い影響が大きく広がっていきましたが、どのあたりが成果につながったポイントだと感じていますか。

    複合的な理由があったと思います。OMEMIEって、オンラインやWeb といったデジタルの力を使いつつ、その一方で実店舗、リアルの方をいかに有効に活用するかということが重要です。自分たちだけでデジタル面を全部解決しようとするとそれはそれで大変な話で、両方の知見を持っている2社がうまく腹を割ってできたというところがすごく大きかったと思っています。これが、サービスを使わせてもらうだけだとか、1社がもう1社を雇うという形だけだとちょっと足りなかったと思います。ゼロイチに近いところで皆ベストな世界を描いていこうと、同じ目線で考えられるようになった。この「目線が合った」というところが最も大きかったと思います。

    ー今まででは、COUNTERWORKSさんからの知見を丸井が受け取るというイメージがありましたが、実際に目線を合わせていくことで大きな成果につながったんですね。一方で、COUNTERWORKSさん側が受け取ったもの、プラスに生じたと感じるのは、どんなことでしょうか。

    僕らが強いのはデジタル側だったので、実店舗側については何となくはわかるんですけど、細かいところはよくわからないですし、はたまた、どの方に何を伝えるのが適切なのかというところはまったくわかりません。このあたりのコミュニケーションについて、僕らはすごく助けられたという感覚があります。これは、COUNTERWORKSが今後いろいろなビジネスをやっていく中で、デベロッパー の皆さんに「わかってるな」と思ってもらえる我々のナレッジにつながると思います。「OMEMIE」を活かすという意味でも役に立っていることであり、COUNTERWORKSとしての事業をもう一段飛躍させるという意味でも、役に立つポイントかなと思います。

    よいループを回して、文字通り"テナントサクセス"を

    ー実際に今後、二社でやっていきたいことや、「OMEMIE」の未来などについて教えてください。

     OMEMIEを活用したイベント出店者の誘致は、テナントサクセス推進室がぐいぐい引っ張っていかなくても、各店舗の担当者が自走できるフェーズになってきているので、次はこの流れを常設で出店いただくテナントまで広げていくことですね。サイトが立ち上がり、実際募集も始まって、問い合わせも出店が決まっている案件も出始めています。実績を出して、丸井の収益に貢献できるところまでやり切りたいです。それが両社の目的でもあるので。常設テナントに関しては、当初思っていた仮説と、テナントさまのニーズが違うと感じているところがあり、サイトもフロントを抜本的に変えたり、検証や改修をしながら、テナントさまにとって「最高の出店体験」につながるように改善しているところです。

    半年、さらに1年2年先まで 見据えていくと、もう一段、小売業としてのビジネスモデルのブラッシュアップが必要になってくると思っています。今、テナントサクセス推進室を中心に小売全体で手がけているのは、テナントさまが初めに申し込んでいただくチャネルの変化。テナントさまにとって、丸井との接点の入り口になっている感覚です。入り口から入ってきた人たちが、丸井の中に入ってきていろんな商業的な営みをされて、「ああ、良かった」と言って出口に向かっていく。そして、そういう方々が前も良かったからまた出店したいと思うような、そういうループを回していくというところに焦点を当てていかなくてはいけないと思っています。テナントサクセス推進室の名前の通り、テナントさまの成功をどう実現していくか、というところに次の1年2年は、かなり手も頭も割いていく必要があるなと。どうやったらテナントさまといっしょに、消費者の皆さんがおもしろいと思う商業施設をつくることができるのか。また、それが丸井としても現実的な運営ができるような、かつ収益性がちゃんと担保できるような形で実現させることができるのか。そこまで達成していきたいと思っています。

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