2026年に世界初の本格的なサステブルな木造商業施設として生まれ変わる渋谷マルイ。 リニューアルオープンへ向けて動き出した渋谷マルイの様子をお伝えする連載「渋谷マルイ開店準備室」では、建設中の建物の様子や、白熱する会議室、オープンに向けて奔走する社員と現場の今をご紹介しています。
5回目の連載となる今回は、外装・内装のモックアップ*の現場に潜入してきました!
*設計上の課題や修正点を見つけるために製作される実物大の模型のこと。
この日の現場は、千葉県松戸市にある戸田建設さまの稔台工作所。渋谷マルイの施工を担う戸田建設さまやリードデザイナーのFoster+Partnersさまのほか、三菱地所設計さま、丸井グループ内の各部署から関係者が集まり、さまざまな検討が行われました。
まずは外装の確認から。
実物大のサンプルということで予想以上に大きい!
これは正面(渋谷モディ側)外装のほんの一部分で、実際にはこの約20倍の面積になるとのこと。木材の自然な風合いが美しく、渋谷のど真ん中にこんな木のぬくもりを感じられる建物がどどーーーーーーんと建ったら、街の雰囲気もガラッと変わるかもしれない...と感じました。やはり、木材サンプルを1枚見ただけでは伝わらない印象や細かな風合いの違いなどを、目で見て、手で触れて確認することができモックアップの重要性を再確認しました。
(写真左)実寸大模型、(写真右)建て替え後イメージ
続いて裏面(線路側)外壁の木目の組み方、アルミパネルの色味の確認をしました。
木目には、「板目(いため)」と「柾目(まさめ)」があり、木材の切り方により木目の模様に違いが出ます。
「板目(いため)」とは、年輪と並行に切ることにより、曲線が重なった木目模様のこと。
一方で「柾目(まさめ)」とは、年輪と垂直に切ることにより、直線的な木目模様に。
この板目と柾目がミックスされることで、より自然さを演出することができます。
次にアルミパネルの確認に進んだところで、気になるポイントが...。
「接合部分が目立つなぁ...もう少し細くすることはできないか?」
アルミパネルの接合部分が太く、木のぬくもりを大切にした外装の雰囲気にもかかわらず接合部分の存在感が目立ってしまっているとの意見がありました。
その対応策として、出てきたのが...
「20mmにしたい!」
現在の接合部分の太さは30mmですが、20mmに変更しわずかに細くすることで影のように見え、接合部分が目立ちにくくなるとのこと。
(こんな大きい建物の外装なのに、わずか10mmの世界で調整していたなんて・・・!設計デザインのこだわりがすごい!)
外装の視察を終え、いよいよ内装確認へ。まず最初に、天井設備の確認が始まりました!
①は当初設計のデザインで、配線を隠すスチールの太さは最小限に、天井の色味も梁の木材と合うものに。
②はパネルで配線を隠したバージョン。
③は配線が想定より多くなった場合の予備の案で、配線を隠す面積が①より多くなっています。
「なるべく梁の木材を目立たせるものがいいよね」
「①は天井の色がやさしいから木材を活かせていていいね」
「②はすっきりしてるけど、梁の側面まで隠れるから天井が低く圧迫感がある...」
「③は黒の印象が強くてコンセプトである木材のやさしい風合いが損なわれてしまう。配線ケーブルは最小限にする方向で調整が必要ですね...」
象徴的な梁・柱の木材のやさしい風合いを際立たせるデザインをめざし、引き続き検討を進めています。
視察は最終段階へ。
内装の中でも館内の雰囲気を左右する「梁・柱」の木材について、全部で4種類の木材が用意され、手触りや色味、加工具合の確認が進みました。
無垢材は自然な風合いを表現できるものの、湿気を含むと木材の表面が白くなる「白華現象」が起こってしまうため、それを防ぐ加工がしてあります。
しかし、加工がしてあることで、完成時の状態を維持しやすいが無垢材の自然な風合いを損なってしまう。
理想と現実の中で、末永く愛される木のやさしい風合いを活かした渋谷マルイにしていくためにはどうバランスを取るのか。
(素材一つ選ぶにしても、一筋縄ではいかないのか...)
それぞれの熱い想いが交差する、緊張感のある白熱した議論がくり広げられました。
木材の前で白熱する議論
―編集後記
きらびやかな渋谷の街の一等地に建設される渋谷マルイ。
地下2階、地上9階建てのわずか「10mm」にこだわるたくさんの想いが詰まった世界初のサステブルな木造商業施設が、どのように渋谷の街に溶け込むのか、わくわくが止まりません!
これからも完成までのわくわくをお届けできるように取材していきます!
世界初の大型木造商業施設に生まれ変わる渋谷マルイ
— 丸井グループ │ この指とーまれ! (@maruigroup) February 24, 2025
外装や内装を実物大の模型で確認できる検討会を実施
青空の下、大きな模型がドーーーン!
これは外装のほんの一部分です
渋谷の街に、こんなに木のぬくもりを感じるお店ができるなんて
奮闘する現場に密着しました… pic.twitter.com/pPSfVPAvTS