2026年に国内初のサステブルな木造商業施設として生まれ変わる渋谷マルイ。 リニューアルオープンへ向けて動き出した渋谷マルイの様子をお伝えする連載「渋谷マルイ開店準備室」では、建設中の建物の様子や、白熱する会議室、オープンに向けて奔走する社員と現場の今をご紹介しています。
遡ること1年前。渋谷マルイ開店準備室のメンバー5名は、日本から遠く離れたヨーロッパにいました。この時の出張先はイギリスとスウェーデン。目的は、渋谷マルイの設計デザインを担当する「Foster+Partners」の本拠地ロンドンの事務所への訪問と、スウェーデンでのサステナブルツアー参加です。
渋谷開店準備室メンバー
まず始めに訪れたのは、渋谷マルイの設計を担当するFoster+Partners のロンドンの本社。Foster + Partnersは、世界的な建築・統合デザインスタジオで、1967年にノーマン・フォスターによって設立され、空港、超高層ビル、文化施設など、世界中のさまざまなプロジェクトに参加しています。特にサステナブルな建築デザインで知られ、渋谷マルイではリードデザインを担当しています。
広々とした社内には、Foster+Partnersが現在取り組んでいるプロジェクトの模型などが並び、空気やエネルギーの循環をシミュレーションした資料などが壁いっぱいに貼られていました。渋谷マルイも、建物に当たる日射量をシミュレーションし、熱効率などを検討した結果、今のデザインに決定しています。
ロンドンには歴史的な建物や注目の商業施設があるとのことで、Foster + Partners訪問の後、いくつか見学しに行きました!その中でとても印象的だった施設を一カ所をご紹介します。
ここは古い教会をリノベーションした「Mercato Mayfair(メルカト・メイフェア)」というフードコート。
イタリアのフードマーケット「Mercato Metropolitano」が運営するロンドン初のフードコートで、2018年にオープンしました。19世紀に建てられた歴史ある建物を活用して新たな食のスポットを創り出すというコンセプトから生まれ、ロンドンで話題の料理や地元食材を提供・販売だけでなく、ワークショップやイベントも開催されています。
日本に比べて地震の少ないイギリスでは、このような数百年も前に建てられた建物も多く残されており、リノベーションによって新たな活用方法が生み出されています。
歴史ある建物と現代のライフスタイルが見事に融合されていて、ロンドンならではのサステナブルな街づくりを体感しました。
ロンドン市内の視察の翌日は、スウェーデンへ移動しました。
スウェーデンはサステナブル先進国として知られ、環境に配慮し持続可能な未来を築くための取り組みが盛んです。再生可能エネルギーの利用率が高く、廃棄物のリサイクル率も世界有数です。また、教育や福祉制度が充実しており、男女平等や多文化共生を推進しています。
丸井グループの社外取締役であるピーター D. ピーダーセンさんの紹介で環境コンサルタントのペオ・エクベリさん同行のもと、サステナブル体感ツアーに参加。準備室のメンバーが、実際に街中を歩いて地元のスーパーやショッピングセンターを視察しました。
スーパーマーケットでは、アルミ缶やペットボトルの回収システムを見学。
スウェーデンでは、Pantというリサイクル容器の回収制度が広く普及しています。アルミ缶やペットボトルなどの飲料容器には追加料金がかかり、容器を返却することで返金されます。スーパーマーケットやコンビニなどで簡単に返却ができ、1979年に導入されたこの仕組みはスウェーデンの生活に根づき環境保護に貢献しています。
また、店内には消費期限が近い食品が集められた陳列コーナーが大きく展開されており、ここから優先的に商品を選ぶことが習慣化されているそうです。
また、レストランではメニューの先頭にヴィーガンフードが記載され、鶏肉や魚を使った二酸化炭素の排出量の少ないメニューには「Light CO²」マークがついているなど、無意識のうちにも環境への配慮をインプットする工夫がいたるところでされていました。
環境保護に対する取り組みが盛んなスウェーデンで2015年にオープンしたのが 、世界初のリサイクル・アップサイクルのショッピングモールReTuna Aterbruksgalleria(レトゥーナ・テルブルクスギャレリーア)です。ReTunaは「買い物を楽しんでもらう」をコンセプトに、衣服、家具、家電製品など15種類の店舗が入っていて、世界初の100%リサイクルショッピングモールとして世界中から注目されています。
世界初のリサイクル・アップサイクルのショッピングモールを視察
日本でもお馴染みのIKEAも入っていて、リサイクルの家具などを展示・販売しています。地球の限られた資源の中で工夫しながら暮らしを楽しみつつ、持続可能な社会を実現する新たな商業施設のあり方を提示しています。
今回の視察は、日本と意識や価値観の違いをあらためて実感する貴重な体験となりました。
今回、サステナブルツアーを案内してくださったペオ・エクベリさんは、ヨーロッパと日本の違いについて圧倒的に教育が関係していると言います。
「子どもを教育するには学校、大人を教育するのは企業」
丸井グループはこれからの未来を生きる将来世代のために、「脱炭素社会の実現」、そして「サステナブルな消費・暮らしの革新」をインパクトの一環として掲げ、すべての人がサステナブルを体感できる新たな商業施設として渋谷マルイの完成をめざしています。
今後も世界中の情報を収集し、それらをかけ合わせて丸井グループ独自の取り組みを推進していきたいと思います。