2月12日(水)、TOKYO FM ホールにて、D2Cのエコシステムを支援する丸井グループの新会社「D2C&Co.(ディーツーシーアンドカンパニー)」の設立発表会を開催しました。 当日は40名以上のメディア関係者にお集まりいただき、丸井グループ代表取締役社長の青井 浩と、新会社社長の 加藤 浩嗣が新会社設立について説明しました。さらに会の後半ではD2Cプレイヤー、プラットフォーマーとしてご活躍される代表者の皆さまにお集まりいただき、トークセッションを行いました。
まず初めに、代表取締役社長の青井より新会社設立の背景や想いを説明しました。
D2Cとは、小売店や広告代理店を介さず、消費者とブランドが直接つながる新しいビジネスモデルで、直接販売することで中間コストを削減できるほか、そこで得られた顧客データをその後の戦略に活かせる点を特徴としています。
「D2C&Co.」は、そういった特徴をもつD2Cスタートアップへの投資をはじめ、モノづくり・ECサイトの構築・リアル店舗の出店・人材の提供など、D2Cに関連するすべての領域にコミットし、マルイ店舗・エポスカード会員・小売ノウハウを持った人材といった丸井グループの経営資源を総動員して、D2Cスタートアップをサポートしていきます。
それだけでなく、D2Cのエコシステムに関わる皆さまとも幅広く連携をし、協力し合える体制を築くことで、D2C全体の発展をめざします。
D2Cの可能性に共感し、新しいビジネスを共に創っていきたいという方に向けて「この指とーまれ!」と指を高く掲げて、「一緒に未来をつくる仲間たち」を募るための会社であり、D2Cという新しいムーブメントを起こしていくための会社にしていきたいと考えています。
設立の背景には「お客さまと企業との関係性の変化」と「ビフォアデジタルからアフターデジタルへの変化」があります。
ミレニアル世代を中心に、モノやサービスを選ぶ際にその背景にあるストーリーや、企業理念への共感を重視する消費者が増えつつある中、顧客と企業との関係は、従来の「売り手と買い手」から、今後は共感でつながる「パートナー」や「コミュニティ」へと変化していくと考えています。
また、単にモノを買うだけならネットのほうが圧倒的に便利な時代に、店舗は新たな役割・価値を提供できる店舗に進化しなければなりません。
そういった背景から、ミレニアル世代を中心に若者から支持を集めるD2Cブランドを通じてオープンイノベーションを進め、D2C全体の発展に貢献することで、私たちのめざす進化した店舗や、共感でお客さまとつながるビジネスを実現し、より良い未来をつくっていけるのではないかと考え、設立にいたりました。
つづいて「D2C&Co.」社長の加藤より、新会社の事業内容についてご説明しました。
新会社の事業内容は、①投資・融資、②リアル店舗への出店支援、③キュレーションサイトの運営の3つです。
①投資・融資
丸井グループでは2016年から投資を実行してきましたが、今後はさらに投資対象をD2Cスタートアップ企業にフォーカスしていきます。そして、「D2C」といえばこの会社といわれる事業にしていきたいと考えています。今後は一カ月に一社程度の頻度で投資をしていく予定です。また、モノづくりをしているD2Cブランドは、成長期に運転資金が恒常的に足りなくなるという課題を抱えています。そのため、融資メニューを充実させていきます。
②リアル店舗への出店支援(出店・運営受託)
オンラインでの顧客獲得コストの上昇や、オフラインでの接点が顧客のLTV(生涯利益)向上につながることを背景に、D2Cブランドのリアル店舗への出店意欲が高まっているため、積極的に店舗出店の支援をしていきます。また、すでに新宿マルイ アネックスの「ワコムブランドストア新宿」などでも導入している、丸井グループ社員による運営受託にも取り組んでいきます。
③キュレーションサイトの運営
D2Cブランド間の相互送客を促進する新たな集客の場を構築します。顧客はD2Cブランドの世界観に共感し、ファンになっていますが、それぞれの根底にあるサステナブルな価値観は共通しているため、より親和性の高いお客さまを相互に紹介し合える場になり得ると考えています。
当日は、新会社設立のサポートを行っていただいた(株)Takram ディレクター/ビジネスデザイナーの佐々木 康裕さんがモデレーターとなり、BASE(株) 代表取締役 CEOの鶴岡 裕太さん、(株)FABRIC TOKYO 代表取締役 CEOの森 雄一郎さん、(株)Sparty 代表取締役 CEOの深山 陽介さんの3名をお迎えし、青井も含めた5名によるトークセッションを行いました。
2017年に新宿マルイ 本館に出店した当時は、まだ自分たちのようなD2Cブランドはあまり多くありませんでした。そのため、多くの百貨店やデベロッパーに出店を断られ、そんな時に丸井グループは私たちの事業を魅力的に感じてくれ、スムーズな出店につながりました。今では、新宿マルイ 本館がトップ店舗になってきています。リアルを持つことで、顧客獲得コストはオンラインのみと比べて数十%改善し、顧客単価も約2.5倍となっています。
以前はリアル店舗を持つ人がECでショップを持つという流れでしたが、今はブランドをつくるときにまずECでショップをつくり、うまくいくとリアル店舗を出したい、という流れに変わってきています。その中で、リアルはTwitterやFacebookに広告を出すのと同じように、短期的にやりたいというニーズがあることがわかりました。つまり、リアルが広告媒体になっているのです。「ブランド単体としては信頼がまだ足りないが、リアルの一等地に出したい」というワガママに丸井グループは応えてくれ、現在渋谷マルイの1FにBASEとして常設店を出店しています。リアルはこれまで「なくなる」といわれていましたが、リアルの存在価値は変わるけれど、「なくならないもの」だと私は感じています。
丸井グループとの出会いは去年の夏。当時はオンラインのみで、急激に売上が伸びていた時でした。ですが、お客さまとのコミュニティ、顧客接点の場がつくれていないという課題感を持っていました。ただ、店舗を出そうと思っても自社は元々IT系人材が多いため、丸井グループとは「どこに、どのように出店するのか?」というところから一緒に考えてもらいました。現在、有楽町マルイ1FにMEDULLA(メデュラ)のフラッグストアを出店しており、運営はマルイ社員に教えてもらいながら、一緒に取り組んでいます。
丸井グループだけが良くなればいいという発想ではなく、D2Cの繁栄が皆にとっての「しあわせ」、これにより社会が良くなると本気で思っています。スタートアップへの投資は、一般的には投資リターンを重視しますが、私たちの新会社では融資を行うことで、少しでもD2Cスタートアップ企業の力になりたいと考えています。小さくても熱烈なファンに支えられているブランドもあれば、一方で大きなECを持つブランドもあります。そういった多様なブランドがあって楽しい世界をつくっています。これからの将来世代が、自分が夢中になれることをやっていける、そういった社会に貢献していきたいと考えています。
新しい記事を更新しました。ぜひご覧ください。#D2C #共創 #新会社https://t.co/DQ11vsFvmh
— この指とーまれ! (@maruigroup) February 28, 2020