対話・対談
2025.1.17

丸井グループ次世代リーダーたちの成長の軌跡

丸井グループでは人的資本経営の一環として、次世代経営者を育成するための社内プログラムを実施しています。今年で8年目を迎える本プログラムを通じて参加者は何を得たのか。 卒業後キャリアアップをする中で新たに見えてきたことは何か?プログラムの現役生と卒業生の対話を通じて、丸井グループの次世代リーダーたちの成長にフォーカスしました!

目次

    次世代経営者候補生の発掘を目的とした社内研修「CMA」

    丸井グループでは経営に革新を起こせる人材の発掘・育成を目的とした次世代経営者育成プログラム「CMA*(共創経営塾)」を2017年より実施しています。CMAは社外取締役である岡島 悦子さんによる監修のもと、丸井グループの経営陣との対話を通じて経営に必要なスキルや知識を学ぶ場となっています。公募によって手を挙げた社員の中から10名~20名ほどが選出され、現在の参加人数は100名を超えました。卒業後は全社視点での企画力が求められる戦略・企画部門や新規事業などの業務を担当し 、グループ執行役員や人事部長など、管理職も数多く輩出しています。

    *CMA:Co-Creation Management Academy

    プログラムの内容はスタート時から毎年アップデートをくり返し、今期はチーム研究として「丸井グループのコアコンピタンス*」、役員対話を通じた「経営戦略」または「ファイナンス」の個人研究を実施し、経営について体系的に学びを深めています。

    *コアコンピタンス:他社に真似することができない会社の核となる独自の強みのこと

    CMAカリキュラムについては過去記事をチェック
    https://www.to-mare.com/work/2021/cma.html

    卒業生と現役生が語る!「考え続けること」の大切さ

    現在カリキュラムに参加しているCMA8期生とカリキュラムを修了した卒業生、それぞれの視点で「CMAを通じて何を得たのか」「身につけた経営視座や学んだことはどのような場面で活かされているのか」など、CMA生同士の「人のつながり」も含めお話いただきました。

    ―皆さんはなぜCMAに挑戦しようと思ったんですか? 

     財務部に所属していた時に資金調達の仕事など数字に触れる機会も多かったのですが、数字の意味をきちんと理解せず仕事をこなしてしまっている自覚があり、ファイナンスの研究を通じて理解を深めたいと思ったのがきっかけでした。現在共創投資の担当として行っている投資先の分析業務の際も、研究を進める中で身につけたファイナンスの知識が役立っていると実感しています。

    CMAのカリキュラムって「経営」や「ファイナンス」などとても抽象的な話をしている感じがするけど、「普段の自分の業務が会社の経営につながっているんだ」とつながりを意識できる機会にもなるんだよね。

    たしかにCMA卒業後、 役員答申に入る機会が増えましたが、ファイナンスの知識を習得したことで組織として求められていることが正確に理解できるようになった実感はありますね。

    そうなんですね。磯部さんはなぜCMAへ参加されたのですか? 

    私は、CMAに参加する前にスタートアップに出向をしていたのですがその環境がとても楽しくて。戻ってきてからは会社を辞めることも考えていたんです(笑)。
    ですが、出向先の方へ相談したところ「辞めようと思えばいつでも辞められるんだから、一回環境を変えられるように動いてみたら?」とアドバイスしていただき、「じゃあ環境はどのように変えられるのか」を考えたいと思ったことがきっかけでした。
     「新規事業をつくる組織」というテーマで最終発表したのですが、 役員の方に「 何で大企業だと自由に働けないんだろうね」と素朴な問いを投げられ、無意識に自分で足かせをはめてしまっていたことに気づきました。「働く場所ではなく、自分がどう思うのか、どうしていきたいのかが重要だ」と思い、私自身の行動が変わったきっかけにつながりました。

    磯部さんが現役生(6期生)だった当時、役員に向けて個人研究の内容を発表している様子。

    たしかに、担当者レベルで仕事をする時に無意識に感じてしまう「枠組み」もCMAのように経営者の視座で考える機会を与えてもらうと、そもそも枠組みなんてないことに気づいたりするよね。実際に丸井グループの役員もそうですし、他社の経営に携わる人々と直接対話をすることや答えがないことを考え続けることがそういった気づきにつながると私自身も実感しています。

    2期生(原田さん)が岡島さんや代表の青井さんと対話している様子。

    ―現在カリキュラムに参加中の林さん!先日行われた研究内容の中間発表はいかがでしたか?

    中間発表では自分の好きなことを突き詰めて発表でき、研究自体も好きなゲーム会社をテーマにしたことで楽しく取り組めました。一方で、最終発表に向けて今まさに壁にぶつかっています。今までのキャリアでは「自分で0から考えて新しい企画を提案する」という機会があまりなかったのですが、最終発表では中間発表までに分析した内容をもとに企画を考え、「丸井グループへの提言」を発表しなければならないのでとても不安です。

    「丸井グループへの提言」って難しいよね。私の時も「中間発表だからと言って妥協せず結論まで出すべきだ」というメンター*からの指導もあり、完璧ではありませんでしたが何とか形にして発表した記憶があります。もちろん役員からの厳しいフィードバックもありましたが、そのフィードバックがあったからこそ最終発表の提案につなげられたと思います。

    メンター*:現役生をサポートする伴走社員のこと。メンター制度はプログラムの卒業生が自身の学びや経験を活かして現役生との対話に参加することで、卒業後の成長や学びを深める機会となっている。

    「個人」としての意見を会社に100%言える機会って長年キャリアを重ねた社員でもなかなかないんだよね。個人のメッセージとして言いたいことを言えるCMAの発表は貴重な場だと思うので、自分の意思を伝えられると良いと思います。厳しいフィードバックを受けることもありますが、そのほうが課題も明確になるし自分への悔しさをバネに成長し、最終発表で化けると思うので皆さんにはくじけずに頑張ってほしいですね。

    ―原田さんはメンターとしてもCMAに参加されていますが、参加している現役生や卒業生の成長をどのように感じられていますか?

    現役生の時は自身の成長を実感できない方も多いと思いますが、卒業されてからお会いすると「こんな考え方をするようになったんだ」と第三者目線でも成長を感じられる方がたくさんいますね。自分自身もメンターとして参加することで、CMAのカリキュラムもそうですし、会社自体もどんどん成長しているなと実感します。

    私は小売やフィンテックなど事業会社のキャリアがなく、研究を進める中で会社の詳細な事業について学びたい時はもちろんCMAの同期も頼りにさせていただいてますし、わからないことを壁打ちした時に「それならメンターの○○さんに聞いてみたら?」と今までかかわったことがない方々との輪が広がっていくのも大変ありがたいです!

    ― メンターになったことで原田さん自身が成長を実感したことはありますか?

    自分が現役生だったころから現在にわたって「丸井グループのコアコンピタンス」が共通の研究テーマになっていますが、これは答えが出ない問いなんですよね。ただ、メンターとしてCMAに参加することで何年も考えることを辞めずに向き合い続けていることが自身の成長につながっていると感じています。

     ―CMAをご卒業されたお二人に質問です!卒業後、課長や部長という管理職の立場になって学びが活かされているなと感じる瞬間はどのような時ですか?

    私がCMAに参加していた当時(2019年)「丸井グループという企業は6つのステークホルダーの重なり合う利益(しあわせ)の調和と拡大を実現する『場』」だと共創経営レポートに記載されたのですが、「重なり合う部分」というのは針の穴を通すくらい狭いと言われていて、難しいお題だなと感じていました。
    そして現在も人事部の部長として社員の声・会社の方針などさまざまなことを考慮したうえで意思決定をしなければならない瞬間があります。たとえば若手が活躍できるよう評価制度の変更を提案した際も、どうしたら社員の理解を得られるのか、「ステークホルダーの重なり合う利益(しあわせ)の調和とは何か」を考え続けました。そこで全社員へ向けて人事部が説明会を開く判断をし、結果社員の皆さんの理解を得たうえで新しい制度の導入にいたりました。 「難しくても考え続けること」はCMAの経験から学んだ大きな財産だと今でも感じています。

    私も「コアコンピタンスの探求 」が非常に活きていると感じています。現役生のころは新規事業の担当だったので、「現業はコアコンピタンスを活かしているのか」をずっと考えていましたが、その時答えは出ませんでした。 ですが、渋谷マルイのリニューアル担当の課長となった今でも「コアコンピタンスを活かしてどうつくっていくべきか」と、また同じようなことを考えてることに気づいたんですよね。CMAを卒業しても、現業の中で引き続き深堀りし続けています。

    業務内容が変わっても「コアコンピタンスを活かす」ということは永遠の課題だよね。

    たしかに。私も現在コアコンピタンスの研究に取り組んでいますが、「やらなきゃ」という気持ちと同時に「なぜ毎年このテーマを研究するんだろう」という疑問が出てくる時もあります。ただ、今日お二人のお話を聞いていて、今後の会社人生に必ず活きるし、今はとにかく考え続けることが大切なんだなと思いました!

    私も現役生の時は「答え」を見つけたくてしょうがなかったんですよ。でもそこで終わらないから大丈夫(笑)!ずっと同じことをぐるぐる考え続けてるから同じところに戻ってきている感じがするかもしれないけど、横から見たらちゃんと前に進んでいるんだよね。

    そうかもしれないね!答えを見つけることがゴールではなくて考え続けることがゴールなんだと思います。

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